【コラム】ウォーキングと睡眠の良さ 〜科学的根拠と生活への取り入れ方〜

現代人の多くが悩む「睡眠の質」。
その改善方法として、手軽に始められるウォーキングが注目を集めています。
今回は、ウォーキングが睡眠にどのような良い影響をもたらすのか、科学的な根拠とともにご紹介します。

ウォーキングがもたらす睡眠へのメリット

1. 適度な運動による深い眠り

ウォーキングなどの有酸素運動は、身体に適度な疲労感をもたらし、夜の深い眠りを誘います。
実際に、日中に運動を取り入れることで、寝つきが良くなり、夜中に目覚める回数も減ることが報告されています。

2. 自律神経のバランスを整える

ウォーキングには自律神経を整える効果があり、ストレス軽減やリラックス効果が得られます。
これが、睡眠の質向上につながる重要な要素です。

3. セロトニンとメラトニンの分泌を促進

朝や日中にウォーキングをして日光を浴びると、脳内でセロトニンが分泌されます。このセロトニンは、夜になると睡眠ホルモン「メラトニン」に変化し、自然な眠気を促します。

研究データが示すウォーキングと睡眠の関係

  • 歩数が多いほど睡眠効率が高まる
    ある研究では、1日の歩数が多い人ほど「睡眠効率(実際に眠っていた時間の割合)」が高く、夜中に目覚める回数も少ないことが報告されています。
  • 日中の活発なウォーキングで深い睡眠が得られる
    日中にやや息が弾む程度のウォーキングを1時間ほど行うことで、睡眠の前半に深い眠り(徐波睡眠)が増えることが分かっています。

ウォーキングのタイミングとポイント

  • 朝や昼のウォーキングがおすすめ
    太陽の光を浴びながら歩くことでセロトニンの分泌が促され、夜の快眠につながります。
  • 夜ウォーキングも効果的だが、就寝2時間前までに
    運動直後は身体が興奮状態になるため、寝つきを良くするには就寝の2時間前までにウォーキングを終えるのが理想です(※3)。

睡眠不足のリスクとウォーキングの意義

日本人は世界的に見ても睡眠時間が短い傾向にあります。
睡眠不足は心身の不調や生活習慣病のリスクを高めることが知られています。
だからこそ、ウォーキングで睡眠の質を高めることは、健康維持のためにとても有効な方法です。

まとめ

  • ウォーキングは睡眠の質を高める有効な方法
  • 朝や昼のウォーキングはセロトニン分泌を促し、夜の快眠につながる
  • 夜ウォーキングは就寝2時間前までに終えるのが理想

健康的な毎日のために、ぜひウォーキングを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考文献

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット「運動と睡眠」
  2. 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構「運動と睡眠」
  3. 日本睡眠学会「睡眠と生活習慣」
  4. 厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針 2014」